箱根や湯河原などの首都圏リゾート地を中心に民泊・貸別荘など計13軒の運営を行う、合同会社むすびての代表鈴木教平さん。当社の新規事業にも参画いただく鈴木さんに、民泊運営業や民泊との出会い、今後の展望について伺います。
鈴木教平:合同会社むすびての代表。民泊や旅館の運営代行業を行いながら、民泊運営や不動産投資についてホームページやX(旧Twitter)を通じて情報を発信。
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―運営代行業とは、どのようなことを行うのでしょうか。
お客様から物件をお預かりして、ホストとして宿泊施設を運営します。
具体的には、ゲストとのメッセージ対応や電話対応、リスティングの情報修正や価格調整、予約が重複しないように予約管理を行ったり。あとは清掃スタッフがきちんと清掃に入れているかの確認など、運営に必要な業務の一式をお客様の代わりに行っています。お客様は毎月のレポートを確認して入金を待てば良いというように、手離れを良くするという業務です。
―今現在鈴木さんが運営されている物件は全部で何軒ですか。
自社だと7軒ですね。新規に2物件を立ち上げ中なので、年内に9軒になります。
お客様からお預かりしてるのは6軒になるので、全部で13軒です。
―1人で10軒以上の物件を運営するのはかなり大変じゃないですか。
基本的には業務のほとんどを自動化しています。
BEDS24(サイトコントローラー)と各OTAのメッセージの自動送信機能を使って。
―なるほど。上手く自動化できるかが運営の鍵ですね。
そうですね。自動化が上手くできないと、民泊事業をグロースさせるっていうのはなかなか難しくなります。代行会社は自動化のノウハウと、ホスピタリティのノウハウを上手く掛け合わせて、効率よくクオリティ高いものを提供していくところに価値があるのではないかと感じます。
―代行を行う際は、物件選びや開業に向けたアドバイスも行うのですか。
お客様から「この物件でやりたいんですけど」というお問い合わせをいただくことも結構あって、そのときには「この物件なら行けると思います」「これは駄目です」というのを正直にお伝えするようにしています。
―その際は、どういった部分から物件の適正を判断されるんですか。
まずは許認可が取れるか否かです。
民泊の営業には大きく、消防法と建築基準法の2つが関わってきます。2つの法規に照らして、開業が可能なのか・工事の金額が釣り合うのかというところが一番のポイントですね。
それから、エリアと物件のポテンシャルを鑑みて頭の中でざっくり収支を弾いています。その物件が採算が合うのかというところを判断して、お客様に正直にお伝えしています。
―各地区の消防の情報も頭に入っているんですね。なかでも注目するエリアはありますか。
やっぱり新宿周辺ですね。人気なエリアだけに競合が多いですが。
そのなかでも何が勝てるかというのは、どのような周辺施設に人が入っているのかや、どのような物件は需要が大きいのかというのをつぶさに調べています。マーケティング次第で安定的に稼働するのではないかというところを見てます。
―周辺の調査の方法というのは、Airbnbでの周辺物件検索などでしょうか。
そうですね。Airbnbや他のOTAを見たり、旅行や宿泊産業のトレンドを調べたりします。
―旅行や宿泊業のトレンドというのは具体的にどのように調べるのですか。
基本的には政府が公表する情報と、自治体が公表する情報の2つですね。
政府のものだと「宿泊旅行統計調査」を一番参考にしています。あとは各自治体の公表する人口動態や宿泊客数のレポートを参考にしています。
―物件探しにおいて、当社を選んでいただいている理由は何でしょう。
やっぱり誠実に対応していただいているというのが一番ですね。
―民泊をスタートしたきっかけは。
元々は田舎で地域おこし協力隊で空き家の活用とか、空き家バンクの運用をやっていました。集落の空き家の持ち主の方に、空き家バンクに掲載したいっていうお話をいただいて、内覧をしたときにこの物件なら自分達で買っても良さそうだなと思ったので、仲間と折半して安い戸建てを買って宿にしたっていうのが民泊開業のはしりでしたね。
―元々は空き家バンクをやられていたんですね。その後、運営代行事業をスタートしたきっかけは何ですか。
Twitterなどから「代行はやってないんですか」という声をいただくようになりました。自分自身も開業のスピードを上げるためにも、キャッシュフローを良くする必要があると感じたのがスタートのきっかけです。
―運営を続けていくなかで感じる市況の変化はありますか。
やはりコロナの前後で大きく変わりましたね。
コロナ禍だと、外国人観光客がほとんど来ない状態なので、日本人の集客に頼らざるを得なかった。また、感染症リスクから都市部の予約は壊滅的な状況が続いていました。そのため、首都圏や関西圏などの近場のリゾート地が流行りました。
2022年の10月に外国人観光客への規制緩和されたことをきっかけに11月、12月と少しずつ外国人観光客が戻ってきました。現在のトレンドとしては、コロナ以前と同様に外国人観光客をメインで集客するようなマーケットになっていますね。
―以前はレンタルスペースも運営されていたとのことですが、民泊運営とはどういった違いがあると感じますか。
やっぱり目的が違うところですね。宿だったら「そこに泊まりたい」「そこで観光がしたい」というところで、街に紐づくので、そこが僕の趣味嗜好と合ってるんですよ。
パーティールーム(レンタルスペース)は室内で友達同士で集まるのが目的の、日本人のゲストが相手なので、そこが大きな違いですね。僕はそこにあまり興味を持てなかったので、現在は宿泊業に絞っています。
あとは海外の方が相手だと、文化が違うからトラブルが起きて当然だと思えるところはあります。問題が起きても、自分がちゃんと注意できなかった責任だと思わざるをえない部分があるので、精神的な許容度みたいなものは感じますね。
―当社の新規事業「民泊運営代行事業」の立ち上げに際し、ニューオにも加入いただくことになりましたが、その背景は。
一人でやっていると自分一人分のリソースに左右されて、業務の広がりに限りが出てきます。事業を拡大していくには新規案件を取っていかなきゃいけないし、かといって自分のリソースはないというジレンマに陥っていたときに、ニューオさんから新規事業のお話をいただき、一緒にやることを決めました。
複数人で回せるようになればお客さんや案件の数も増えるし、元々あった事業の収益をもとに新規事業を立ち上げるという背景があるので、僕の課題を一段クリアできてるんですよね。自分にとっても最適な選択肢だと感じて加入を決めました。
―最後に、鈴木さんがこれからやっていきたいことは何ですか。
自社での運営と運営代行という両方を行い、仮説検証の幅を広げることで「どのエリアが刺さるのか」「どういったコンセプトが刺さるのか」というところを色々検証していきたいです。日本の宿泊産業の成長に貢献しながら、利益を得ていきたい。
Airbnbのリスティングとかを見ていると、観光地とか温泉地、著名なところなのにリスティングがまだ全然ないところがいっぱいあったり、外国人観光客がまだ訪れてない魅力的な観光地というのはまだまだたくさんあると感じます。お客さんに楽しんでもらえる機会をもっと増やしていって、その利益でまた別のエリアを検証してみる。そしてうまくいったら展開するっていうのをどんどん行って、日本の観光産業に貢献をしていけたらいいなと思います。
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