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脱サラからスペースオーナーに、合同会社ハングアウト代表 深瀬剛さんに聞くレンスペ業界と今後の展望

2023年4月28日 (更新日 : 2023年4月28日) インタビュー記事

インタビュー連載第1回目はレンタルスペースや民泊のオーナーであり、SNSや書籍からシェアリングエコノミーについて情報を発信する、合同会社ハングアウト代表の深瀬剛さん。
レンタルスペース業界のけん引役である深瀬さんにご自身の展望やスペース運営について伺います。

深瀬 剛:合同会社ハングアウトの代表。通称「ナントさん」奥様の「カナルさん」の2人でレンタルスペースや民泊について、ブログやコミュニティー配信を通じノウハウを発信。現在、レンタルスペースと民泊計9軒を運営している。

ブログ:https://travelers-hangout.com/
今回取材を行ったスペース:【撮影スタジオDOLLY飯田橋】自然光が降り注ぐ部屋◎撮影機材… (spacemarket.com)

サラリーマンから夫婦民泊経営の道のり

―深瀬さんがレンタルスペースを始めたきっかけは何ですか。

6年前に民泊をスタートして、民泊事業を拡大しようと色々な不動産屋を回っていた時にレンタルスペースを紹介されたのがきっかけです。その時が丁度ハロウィンの翌月くらいで、シミュレーションで見せてもらった売上が良かったので、民泊より稼げるんじゃないかと思ってスタートしました。始めたのが年末だったので初っ端から凄い売上があって、どんどん拡大していったというのが経緯です。

―もともと民泊をやられていたんですね。

もともとは家で民泊をやっていました。海外旅行が好きで、旅行会社でサラリーマンをやっていたんです。そのときにAirbnbとかも知っていて、妻とそろそろ家を建てるかっていうときに、どうせなら民泊ができる家を建てたいと江ノ島に家を立てたのがきっかけです。そしたら民泊の売上もあってかなり忙しくなったので、そのまま会社も辞めちゃいました。

―民泊からレンタルスペースを始めたときの感想やギャップはありましたか。

僕がやっている家主居住型民泊は毎回、チェックインやチェックアウトのときにゲストさんと顔を合わせる機会があるんですよ。なにか緊急のことがあっても別の階に住んでいるので、すぐに駆けつけられるんですけど、レンタルスペースは遠方に住んでいてメッセージだけのやりとりになるのが最初はかなり不安でしたね。これに関しては緊急時に対応してくれる会社をレンスペ仲間が立ち上げてくれて。元から知っていた人だからこそ信頼できるし安心して一任しています。

―脱サラして、民泊一本でやっていくと決めたときの奥様の反応はどうだったですか。

奥さんも同じタイミングで仕事を辞めちゃったんですよ。「私も辞める!」って。
一気に二人共無職になったんですよ。「なんとかなる」をモットーに。

―ナントとカナルの由来もそこから。

そうです。「なんとかなる」っていうのを夫婦のコンセプトにしていて。当時民泊とかレンタルスペースで情報発信してる人もいなかったので、ブログで情報発信をはじめました。
文才はないのでキャラクターの絵で誤魔化そうと笑そこからナントとカナルのブログが始まりましたね。

―他に不動産投資を行った経験はありますか。

一度ボロ戸建投資をやろうと思って、大家のコミュニティにも入っていました。千葉県内のボロ戸建を狙うっていうコミュニティで。いざやってみると家から距離があるので、物件が出て内見するとなってもスピード感で負けてしまうのと、DIYのスキルもあるわけではないので、結局レンタルスペースをそのままやっていたほうが良いっていうことになりましたね。ドカンと稼いで譲渡で売り払うこともできるし、利益率で見たらレンタルスペースの方が効率がいいなと思います。
―家賃収入の方が安定するように思いますが、譲渡などの選択肢の多さや価格設定の自由度は他の不動産投資にはない部分に感じます。
アパート経営とかのほうが、最初は大変だけどその後は安定していて楽なんじゃないかと思います。不労所得に近いのはアパートとか戸建ての投資。レンタルスペースとか民泊は「不労所得」ではないんですよね。少しの労働で「少労所得」と呼んでいます。

スペース運営とオーナー同士の繋がり

―民泊やレンタルスペースの運営をやっていて良かった点はなんですか。
実際に使った人たちの声をダイレクトに聞くことができるっていうところですね。あとは少労所得なので時間に縛られないところです。「時間持ち」になったなと思います。比較的自由な生活です。

―運営まで行うとなると大変な印象ですが。

作業にかかるコスト削減を測るために、自動化できるシステムを導入しています。電話の自動応答とか、ゲストからの解錠の方法やスペースまでの行き方、wifiについてなどの問い合わせがあるとシステムが自動で返答してくれます。自分は後々見返して「こんなことがあったんだ」と確認するくらいです。

―具体的には何というサービスですか。

IVRy(アイブリー)ですね。サービスが始まった当初から使用しています。

―レンタルスペースの開業や運営にはどのような人が向いてると思いますか。

まずほったらかしで稼げると思う人は向いてない。あとはマーケティングができる人は稼げると思いますね。どんな場所で、どういうものに需要があるかっていうのを、ちゃんと市場調査して見極めて、オープン後も人が入るように調整できる人は稼げると思います。
あとインテリア好きにはすごく向いてると思います。内装は妻が考えているんですけど、うちの嫁は天職だって言ってるので。設営とかもすごい楽しんでやってるんですよ。「こういうコンセプトでこうものを」って、インテリア選びも楽しそうにやっています。僕はあまり興味が無いので、夫婦でうまい具合に役割分担できています。そういうふうに夫婦で分担できるのはすごい良いですね。

―設営もご一緒にやるんですね。

DIYも女性の方が上手いんですよ。丁寧にやるので。壁紙貼りとかも僕は大嫌いだけど嫁は大好きで。
あとはレンタルスペースオーナーの仲間に呼びかけて集まることも多いですね。オーナー同士が協力し合う体制がすごいできていると感じます。
人と繋がることに特に抵抗がない人は良いかと思いますね。「焼肉おごるから手伝って」みたいな感じで手伝いに来てもらったりとか。

―オーナーさんとはコミュニティ配信で知り合ったんですか。

そうです。ブログを読んで連絡をくれた人やTwitterからも多いです。

―設営以外でもやり取りする機会はあるんですか。

例えばトラブルとか起きても、トラブルが起きたスペースの近くに住んでるTwitterの仲間が様子見に行ってくれたり。Twitter上のレンタルスペースの集まりで仲良くなった人たちが、僕みたいな遠隔で運営している人を助けてくれますね。

―オーナーさん同士の仲がよく、業界自体を良くしたいという意識を持った人が多い印象ですね。

民泊は法律による規制がかかった影響で3割ぐらい淘汰された時期があったんです。レンタルスペースも似たり寄ったりのところがあるので、法律が入ると運営が厳しくなる。なのでトラブルが起きないように、みんなで協力しているところがあると思います。
空きスペースを使ったシェアリングエコノミーは右肩上がりに成長してると感じます。業界自体は世間が求めていることをやっているので、今後も成長していくと思うんです。その成長を鈍化させるようなトラブルや法律ができないように、今やってる人達は協力しあって上手くやらなければと思いますね。

民泊も、インバウンドを受け入れられるスペースが足りてないですからね。ホテルと旅館だけじゃ絶対的に足りないので、そこは民泊を盛り上げていく必要があるでしょう。

―なるほど。我々も引き続き、深瀬さんと一緒に業界を盛り上げて行きたいと思っております。既に2年弊社が物件案内をしておりますが、継続して弊社を選んでいただいている理由はありますか。

まず民泊やレンタルスペースを探してくれる不動産屋さんが稀有なこと。
そういう不動産屋さんは探せば他にもありますが、ニューオが他社と違うところは誠実で人が良いところですね。やはり人柄が良くないと、どの業界もそうですけど長く付き合うことはできないと思っています。
僕のコミュニティでも許可物件の配信を行っていただきとても感謝しています。レンタルスペースの許可物件を個人で探すのは本当に大変なのでとてもいいサービスだとご好評いただいています!

業界の潮流と今後の展望

―レンタルスペース業界内の流行りはありますか。

流行りは基本的に毎年変わっていっているなと感じます。今は大型のパーティースペースが流行りですかね。絶対的なリターンがある代わりに、絶対的なリスクがある。トラブルがついて回るので、鋼のメンタルが必要です。

―やはりコロナが明けて人が戻ってきた影響でしょうか。

そうです。コロナ期間中は大型のハコは売上が落ちて、逆に小型のパーティースペースと小型の会議室が流行りました。今はその2つは元気がない状態ですね。

―ずばり、これからはどんなスペースに需要があると思いますか。

ポップアップショップができるスペースはこれからくると思います。
Creemaなどのハンドメイドマーケットが拡大していたり、自分でギャラリーをやりたいっていう人がどんどん増えているので、その人達が展示できるスペースを開きたいですね。機材や内装もプロ仕様のものには劣るけど、その分価格帯を下げてアマチュアでも使いやすいスペースをつくっていきたいです。
今年のうちの社訓は「なりたい自分を応援する」なんですよ。個人で頑張ってるプレーヤーを応援できるスペースっていうのを作っていきたいなと思っていて、なのでポップアップのギャラリーだったり自分たちで作った作品を展示できるスタジオを作りたいです。あとは去年嫁がやった間借りキッチンですね。将来飲食店をやりたい人向けにキッチンとスペースを貸すっていう、その2物件を立ち上げたいと思っています。

―素晴らしいですね。開業するスペースのコンセプトや用途はどのようにして考えているんですか。

まずはエリアを決めて、そのエリアでどういったものが流行るかっていうのを調査します。
例えば、池袋だったら推し活文化の中心地なので、そのターゲット層にはどういうものがうけるかなっていうのを調べて、調べた結果を反映させて。
当然外れることもあるんですけど、レンタルスペースの良いところはリニューアルが簡単にできるので、リニューアルして、テストしながら進めていきます。

―最後に、スペースの運用を通じて今後叶えていきたいことはありますか。

先程のアマチュア応援のところになりますね。
今後は利益というよりは、アマチュアクリエイターやこれから何かやりたいっていう人たちを応援するようなスペースをどんどん作って喜んでもらうというところに価値を見出していきたいです。

僕の来年の目標は令和のトキワ荘をつくることです。
漫画家になりたい人たちっていうのを応援するようなゲストハウスをつくって、今までにはない漫画の活用方法や書き方とか、直接ユーザーの声が聞こえる仕組みとだったりとか、そういうのをつくりたいと思っています。

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